設計図のボードが白紙のままバラバラの部品を並べている机と、設計図どおりに整然と積み上がっている机を左右で対比したイラスト

この記事の結論

集客の仕組みづくりが前に進まないとき、原因は作業の遅さではありません。コンセプトと導線設計が固まっていないから、次に何を作るべきかが決まらないだけです。設計が決まれば、LPも動画もセールスの流れも「設計図どおりに作るだけ」になります。僕が現場で設計にいちばん時間をかける理由と、リサーチで必ず見ている4点、進まないときの点検手順を紹介します。

「なかなか進まへんな」と言われた3週間

先日、ずっと設計を詰めていた案件が、ようやくピタッと固まりました。コンセプトと、ファネルの導線設計。あとは作るだけ、という状態まで持っていけました。

ここまでは、正直に言って生みの苦しみでした。クライアントさんと、ああでもないこうでもないと何度も話し合っています。途中でこう言われました。

「なかなか進まへんな」

その気持ちは、よく分かります。打ち合わせを重ねているのに、目に見える成果物がひとつも出てこない。LPもできていないし、動画も撮っていない。外から見れば、止まっているように見えます。

でも僕は、ここを急ぎません。2011年の創業から15年以上、ひとり起業家と小さな会社の集客に関わってきて、いちばん後悔が残るのは「設計が曖昧なまま作り始めた案件」だからです。

設計が決まっていないと、作るものが決まらない

コンセプトと導線設計が定まっていない状態では、そもそも手が動きません。

  • 誰に何を約束する商品なのかが決まっていないから、LPの見出しが書けない
  • どの順番で何を伝えるかが決まっていないから、動画の台本が組めない
  • 見込み客がどの階段をどう上るかが決まっていないから、セールスの流れが引けない

手が止まって見えるのは、作るものがまだ決まっていないからなんです。ここを混同すると、「とりあえずLPだけ先に作ろう」という判断になりがちです。そして、あとから導線が決まった瞬間に、そのLPは作り直しです。

実際、僕のところに相談に来られる方の中には、すでにLPも広告もステップメールも持っているのに数字が伸びない、というケースがけっこうあります。中身を見ていくと、ひとつずつの出来はそんなに悪くない。ただ、それぞれが別の考え方で作られていて、つながっていないんですよね。

遠回りに見える工程が、成功確率を上げている

だから最初は、揉んで揉んで、考えて考えて、リサーチを徹底的にやります。

設計を後回しにした場合と、先に固めた場合の進み方 上段は設計が曖昧なまま制作に入り、数字が伸びず作り直しに戻る流れ。下段はリサーチと設計を先に固め、設計図どおりに制作し、改善する場所が特定できる流れ。 ✕ 設計を後回しにする とりあえず LPから作る 数字が伸びない 原因も分からない 作り直し 時間と費用が二重 ○ 設計を先に固める リサーチして コンセプトと導線 設計図どおりに 迷わず作る 止まった段階が 数字で特定できる
図: 設計を後回しにした場合と先に固めた場合の進み方。差は、やり直しの回数に出る

設計にかけた時間は、そのまま再現性になります。設計図が決まっていれば、あとは決まったとおりに作るだけです。誰が手を動かしても、同じものが出来上がります。

逆に、コンセプトが曖昧なまま進むと、どこかで数字が伸びません。広告を回しても、なんとなくパッとしない。しかも厄介なのは、原因が特定できないことです。広告が悪いのか、LPが悪いのか、商品そのものが求められていないのか。根っこが定まっていないので、どこを直せばいいのかが分かりません。

だから僕はいつも言っています。コンセプトが8割です。仕組みは設計図どおりに作るだけ。でも、その設計図がズレていれば、どれだけ作業しても成果はズレます。

設計段階で必ず調べる4つのこと

設計は、会議室で頭をひねって出すものではありません。調べたことの上に組み立てます。僕が必ず見ているのは、この4つです。

1. 市場

その悩みを持っている人が、そもそもどれくらいいるのか。お金を払ってでも解決したいと思っているのか。ここが薄い市場では、どんなに良い商品でも数字が伸びません。

2. 競合の強み

すでに選ばれている競合が、何を武器にしているのか。同じ土俵で正面からぶつかると、実績でも予算でも勝てないことが多い。まず相手の強い場所を知ります。

3. 競合の弱み

ここが、いちばん大事な情報です。競合が拾えていない層、答えていない不安、面倒だからやっていないこと。差別化の入り口は、ほぼここにあります。

4. 見込み客が使っている言葉

悩んでいる本人が、そのまま口にする言葉です。同じ症状でも、専門用語で検索する人と、日常語でこぼす人がいます。入り口に置くべきなのは、後者の言葉なんです。

この4つが揃うと、コンセプトは自然に決まってきます。決まらないときは、たいていリサーチが足りていません。

前に進まないときの点検手順

もし今、なんとなくモヤモヤして前に進まないなら、作業を増やす前にこの3つを確認してください。

1. 一文で言い切れるか

「誰の、どんな状態を、どこまで変える商品なのか」を一文で書いてみます。手が止まるなら、まだ設計の途中です。ここが書けないままLPを作ると、見出しが毎回ブレます。

2. 階段の段数を説明できるか

見込み客が最初に出会う場所から申し込みまで、何段あるのかを順番に並べます。段が多すぎても落ちますし、いきなり高い段を置いても上れません。並べてみると、抜けている段が見えてきます。

3. 次に作るものが自動的に決まるか

設計が固まると、次に何を作ればいいか迷いません。迷いが残っているなら、決まったつもりになっているだけです。逆に言えば、やることが明確になった時点で、勝ち筋は見えています。

作業を急ぐより、設計を磨く。遠回りに見えて、いちばん早い道です。

よくある質問

コンセプト設計にはどれくらい時間をかければいいですか?

案件の規模によりますが、ひとり起業家の新しい商品なら2週間から1か月ほどかけることが多いです。期間そのものより、市場・競合の強み・競合の弱み・見込み客が使っている言葉の4点を調べ切ったかどうかが基準になります。調べ切る前に作り始めると、作ったあとで作り直すことになり、結局そちらのほうが時間がかかります。

設計が固まったかどうかは、どう判断すればいいですか?

誰に何を約束する商品なのかを一文で言い切れること、そして見込み客が最初に出会う場所から申し込みまでの段階を順番に説明できることの2つが目安です。この2つを紙に書こうとして手が止まるなら、まだ設計の途中です。書けたときは、次に作るものが自動的に決まります。

すでにLPや広告を動かしています。今から設計を見直す意味はありますか?

あります。数字が伸びないときに広告の入札やLPの見出しだけを触っても、根っこの設計がズレていれば改善幅は小さいままです。まずコンセプトと導線を点検し、どの段階で見込み客が止まっているかを特定してから、その段階の中身を直す順番をおすすめします。

Web Culture Service CEO 加藤理人

加藤理人(かとう みちひと)

Web Culture Service CEO/Meta公認代理店〈Meta Business Partners〉

2011年創業。ひとり起業家と小さな会社のための「AI自動化マーケティング設計」を提唱。AI導入支援・Webマーケティング支援・Meta広告運用代行の3事業を展開し、東海テレビ・Yahoo!ニュースで業界有識者として解説。奈良を拠点に全国オンライン対応。

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