この記事の結論
AIを使っている人は、もう珍しくありません。それでも成果の差が広がっているのは、同じ仕事をもう一度やるときの再現性で分かれるからです。同じ仕事を毎回ゼロから説明し直している人と、一度書いた指示を型にして次から呼び出すだけにしている人。この差が、月単位で見ると大きな時間の差になります。ひとり起業家と小さな会社が繰り返す仕事を型に変えるための3ステップを、自社で毎日動かしている実例つきでまとめました。
「AIを使ってます」は、もう珍しくなくなった
ここ1年ほどで、AIを使っていますという人が本当に増えました。僕の周りでビジネスをしている人も、だいたい何かしら触っています。文章を書かせる、アイデアを出させる、資料のたたき台を作らせる。このあたりは、もう特別な使い方ではありません。
ただ、AI導入支援の現場で相談を受けていて、最近はっきり感じていることがあります。
AIを使っている人と、AIを使いこなしている人。この差が、むしろ広がっている。
同じツールを契約して、同じ月額を払っています。それなのに、片方は目に見えて仕事が減っていて、もう片方は去年とほとんど変わっていない。ツールの性能の差ではありません。使い方の設計の差です。
差が開くのは、2回目にもう一度やるときの再現性
差がつく場所は、2つに分かれます。
ひとつは、出てきたものをそのまま出しているかどうか。AIが書いた文章は、手を入れないとやはりAIっぽい文章のままです。自分の経験と、自分の言葉と、自分の温度を乗せる工程が抜けると、どうしても薄くなります。ここは受け手の心を最終ジャッジする感受性で詳しく書きました。
そしてもうひとつが、この記事の本題です。同じ仕事を、毎回ゼロから説明し直していないか。
たとえば毎週、SNSの投稿文を作っているとします。よくあるのは、こういう手順です。
- チャットを新しく開く
- 自分が何をしている人かを説明する
- 読者は誰で、どんな悩みを持っているかを説明する
- 使ってほしくない表現や、避けたい言い回しを並べる
- ようやく本題を伝えて、出てきたものを直す
1回あたりは、たった数分です。でも週に何度も繰り返せば、その説明だけで月に何時間も溶けていく。しかも毎回、説明の細かさが変わるので、出てくるものの品質まで揺れるんですよね。
使いこなしている人は、この説明の部分を一度きりで終わらせています。前提と手順を文章にして残し、次からはそれを呼び出すだけ。AIにとっては「もう知っている相手」からの依頼になるので、最初から狙いに近いものが返ってきます。
僕が実際に型にしている仕事
僕は2011年に創業して、いまはMeta公認代理店〈Meta Business Partners〉として広告運用代行をしながら、ひとり起業家と小さな会社へのAI導入支援をしています。自分の会社でも、繰り返す仕事をひとつずつ型に変えてきました。いま動いているものを、そのまま出します。
- 毎日決まった時刻に、AI関連のニュースを4つの切り口で集めて要約したものが手元に届く
- 1日3回、受信メールを見て、返信が必要なものだけを抜き出す
- 月曜の朝に、先週動いた案件と今週の予定を突き合わせた段取りが上がってくる
- いま読んでいただいているこのコラムも、素材選びから執筆、画像の用意、サイトの更新、公開までを型に沿って進めています
型にする前は、同じ説明を毎回打ち直していました。一人称は僕で書くこと。読者はひとり起業家と小さな会社であること。この言い回しは使わないこと。書き出せば数十行になる前提を、その都度キーボードで入力していたわけです。
1回5分としても、週に10回で50分。月にすると3時間以上を、同じ説明のために使っていた計算になります。これを一度だけ文章にして残したら、その時間はまるごと空きました。
ひとつだけ、はっきりさせておきたいことがあります。型にしたあとも、最後に出すかどうかを決めるのは人です。相手の反応で成果が変わる仕事まで型に流し込むと、かえって遠回りになります。この線引きの考え方はAIに任せていい仕事、任せてはいけない仕事にまとめました。
今日からできる、型づくりの3ステップ
大がかりな準備はいりません。プログラミングの知識も不要です。テキストファイル1枚から始められます。
1. 今週やった仕事のうち、2回以上やったものを書き出す
まず候補を見つけます。判断基準はシンプルで、同じ月に2回以上やった仕事かどうか。投稿文の下書き、問い合わせの一次整理、定例の情報収集あたりが、たいてい最初に見つかります。1回しかやっていない仕事は、いま型にしなくて構いません。
2. 手順と一緒に「判断の基準」まで文章にする
ここがいちばん大事なところです。手順だけを書くと、途中で必ず迷いが出ます。誰に向けて書くのか。どこまで決まったら次の工程へ進むのか。どの表現は使わないのか。この判断の基準を一緒に書いておくと、次から自分で確認する回数が減ります。粒度に迷ったら、新しいスタッフに仕事を引き継ぐときのメモを思い浮かべてください。
3. 名前をつけて、次回は呼び出すだけにする
書いた文章に「投稿下書き用」のような名前をつけて、すぐ開ける場所に置きます。次に同じ仕事が来たら、説明せずにその型を渡すだけ。使ってみて足りない条件が見つかったら、その場で書き足します。この足し算を数回くり返すと、自分の仕事の癖まで入った型になります。
AIを使うかどうかは、もう差になりません。同じ仕事を、何回説明しているか。分かれ目はそこです。
よくある質問
仕事を型にすると、毎回似たような成果物になりませんか?
型にするのは手順と判断の基準であって、中身ではありません。誰に向けて書くのか、どの表現を避けるのか、どこまで決まったら次へ進むのか。この部分を固定すると、毎回説明していた前提がなくなり、その分の時間を中身を考えることに回せます。似てくるとしたら、型に素材や切り口を入れる工程が抜けている状態です。
プログラミングができなくても、仕事を型にできますか?
できます。型の正体は、手順と判断の基準を書いた日本語の文章です。新しいスタッフに仕事を引き継ぐときのメモと、中身はほとんど同じものになります。まずはテキストファイル1枚から始めて、使いながら足りない条件を書き足していけば十分に回ります。
どの仕事から型にすればいいですか?
頻度が高く、手順が毎回ほぼ同じで、失敗しても取り返しがつく仕事からです。定例の情報収集、問い合わせの一次整理、投稿文の下書きなどが該当します。逆に、相手との関係性がそのまま成果を左右する仕事は後回しにしてください。まず1つだけ型にして、2回目に呼び出してみると効果が判断できます。
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