見込み客の心理段階を階段に見立て、リサーチを土台に一段ずつ感情を進めていく様子を描いたイラスト

この記事の結論

広告やLP、ステップメールの反応が出ないのは、コピーのテクニックが足りないからではなく、「見込み客の心理をどう動かすか」の設計が抜けているからです。マーケティングの9割は心理誘導、その心理誘導の9割はリサーチ。相手が今どこに立っているのかを知らなければ、進んでほしい方向へのルートは描けません。この記事では、僕がMeta広告運用の現場で毎回やっている見込み客リサーチの「3つの問い」を紹介します。

「作ったのに反応が出ない」の共通点

ひとり起業家や小さな会社の方から、こんな相談をよくいただきます。

「広告を出したのに、まったく反応が出ないんです」

話を聞いていくと、続く言葉もだいたい似ています。ステップメールを一生懸命組んだのに申し込みにつながらない。LPを作ったのに、登録ボタンが押されない。SNSで発信しているのに、問い合わせが来ない。

頑張っていないわけではないんです。むしろ、時間もお金もかけている。それなのに反応が返ってこない。この状態は本当につらいですよね。

ここで多くの人が「コピーが下手なのかな」「デザインが悪いのかな」「もっと刺さる言い回しを探さなきゃ」と、表面のテクニックに原因を求めます。でも、僕が15年オンラインマーケティングの現場を見てきて言えるのは、反応が出ないほとんどのケースで抜けているのは、言い回しではなく、その手前の「心理設計」だということです。

マーケティングの9割は「心理誘導」

少し乱暴な言い方をすると、マーケティングって「心理誘導のゲーム」なんですよね。

Web広告を出すときも、LPをつくるときも、ステップメールを流すときも、プロモーションを設計するときも、共通しているのはたったひとつ。「見込み客の心理をどう動かしていくか」。ここが設計されているかどうかです。

うまくいっているマーケティングは、例外なくこの順番で組まれています。

  • 見込み客が今どの心理段階にいるのかを理解している
  • そのステージごとに、ちょうど必要な情報を渡している
  • 一歩ずつ、感情を前に進めてもらっている

いわば「設計された心理階段」を、一段ずつ上ってもらっている状態です。いきなり3段飛ばしで「今すぐ申し込んでください」と言っても、相手の気持ちがまだ1段目にいれば、当然その手は動きません。

見込み客の心理段階を一段ずつ上ってもらう設計 左から右へ、無関心・問題認識・興味・比較検討・行動という5つの心理段階を階段状に配置し、リサーチがその階段全体の土台になっていることを示した図。 無関心 問題認識 興味 比較検討 行動 感情を一段ずつ前へ進めてもらう 土台=リサーチ(相手が今どこに立っているか)
図: 見込み客は心理段階を一段ずつ上がる。飛ばして売り込んでも手は動かない

反応が出ないマーケティングは、この階段が組まれないまま、とりあえず形だけ作って配信されているケースがほとんどです。「この順番で見たら、こう感じるよね」「この情報を先に出せば、こういう気持ちになるよね」という流れが無い。だから、どれだけ情報を詰め込んでも、相手の心が動かないんです。

その心理誘導の9割は「リサーチ」

では、その心理誘導を成功させるために一番大事なことは何か。答えははっきりしています。リサーチです。

見込み客が今どんなことで悩んでいて、どんな気持ちを持っていて、どんな未来を求めているのか。ここを理解できていないと、そもそも誘導のしようがありません。どの方向に進んでほしいかを考えるより先に、「相手が今どこに立っているのか」を知らなければ、ルートは描けないからです。

だから僕は、こう言い切っています。マーケティングの9割は「心理誘導」。そして心理誘導の9割は「リサーチ」。人によっては「リサーチが10割だ」と言うくらい、ここが土台になります。

ひとつ、現場の話をします。僕はMeta広告の運用代行をしていますが、成果が出ないアカウントを引き継いだとき、最初にやるのは広告の設定調整ではありません。まず、そのビジネスの過去のお客さんが「どんな言葉で悩みを語っていたか」を集めることから始めます。問い合わせの文面、アンケートの回答、購入後の感想。そこに出てくる生々しい言葉を広告文やLPに戻してあげるだけで、同じ商品・同じ予算のまま反応が変わることが、本当によくあります。

逆に言うと、コピーのテクニックをどれだけ磨いても、土台のリサーチが無ければ「上手だけど誰にも刺さらない文章」にしかなりません。売り方をどうするかより、どんな気持ちの動かし方をするか。そのために、相手をどれだけ深く知っているか。ここを意識できるようになると、反応の取れるマーケティングが少しずつ作れるようになってきます。

今日からできる見込み客リサーチの3つの問い

リサーチと言うと大がかりに聞こえますが、最初の一歩は難しくありません。あなたの見込み客について、次の3つの問いに、自分の想像ではなく「相手の言葉」で答えられるかを確認してみてください。

1. その人は今、何に悩んでいるか

「集客したい」ではなく、その人が夜中にスマホで検索しているような、具体的な言葉で書けるか。悩みの解像度が、そのまま届く言葉の解像度になります。

2. その人は今、どんな感情でいるか

焦りなのか、あきらめなのか、期待なのか。感情の温度がわかると、どんなトーンで語りかければ心が動くかが決まります。同じ内容でも、励ますべき相手と、まず不安を受け止めるべき相手では、言葉の入り口が変わります。

3. その人は本当は、どんな未来を望んでいるか

商品を売りたいこちらの都合ではなく、相手が手に入れたい状態。「痩せたい」の奥にある「自信を持って人前に立ちたい」まで降りられると、提案が刺さります。

この3つを埋めるのに、特別なツールはいりません。過去のお客さんへのアンケート、問い合わせメール、同じ悩みを扱うSNS投稿への感想。相手が自分の言葉で語っている場所を10件も読めば、輪郭は見えてきます。集めた生の声をAIに渡して整理してもらうのは大いにアリですが、その一次情報を集めるところだけは、あなた自身がやる必要があります。ここがマーケティングの、いちばん地味で、いちばん効く土台です。

よくある質問

リサーチと言われても、何から見ればいいですか?

自分の頭で考えるより先に、見込み客が実際に使っている言葉を集めるのが出発点です。過去のお客さんへのアンケート、問い合わせメールの文面、同じ悩みを扱うSNS投稿への感想コメントなど、相手が自分の言葉で語っている場所を10件も読むと、悩み・不安・望む未来の輪郭が見えてきます。

心理誘導というと、押し売りのようで抵抗があります。

ここで言う心理誘導は、相手をだますことではありません。見込み客が今どんな気持ちで、どこで止まっているのかを理解し、次の一歩を踏み出しやすいように情報を渡す順番を整えることです。相手を無視して売り込むのが押し売り、相手を理解して段階を設計するのがマーケティングです。

AIを使えばリサーチは省けますか?

省けません。AIは集めた情報を整理したり、言葉を磨いたりする作業は得意ですが、あなたの見込み客が実際に何を感じているかという一次情報は持っていません。生の声をあなたが集めてAIに渡すと精度が上がります。リサーチを飛ばしてAIに丸ごと任せると、それらしいけれど誰にも刺さらない文章が出てきます。

Web Culture Service CEO 加藤理人

加藤理人(かとう みちひと)

Web Culture Service CEO/Meta公認代理店〈Meta Business Partners〉

2011年創業。ひとり起業家と小さな会社のための「AI自動化マーケティング設計」を提唱。AI導入支援・Webマーケティング支援・Meta広告運用代行の3事業を展開し、東海テレビ・Yahoo!ニュースで業界有識者として解説。奈良を拠点に全国オンライン対応。

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