この記事の結論
Webで何かを申し込む人は、ほぼ必ず他の選択肢と比べてから決めます。それなのに、売る側に回ると「最初に見てもらえたら選ばれる」前提で広告やLPを作ってしまいがちです。比較される前提がないと、どんなに良いサービスでも「ふつうに良さそう」で終わります。一言で言えるポジションを決める、比べる軸を自分から示す、選んだ人の次の一歩を用意する。この3つを設計しておくと、比べられても選ばれる側に立てます。
あなたは「最初に見た1社」で決めていますか?
何かを買おうとするとき、最初に目に入った1社だけで決めることはあるでしょうか?
たぶん、比べると思います。他にもっと合うところはないか。こっちのほうが安くないか。こっちのほうが自分の状況に近い人が使っていそうだ。スマホのタブを何枚も開いて、口コミを読んで、プロフィールを見て、それから申し込む。消費者としては、ごく当たり前の行動です。
ところが、売る側に回った途端にこの感覚を忘れてしまいます。自分のサービスの良さを丁寧に説明すれば伝わるはず。最後まで読んでもらえれば分かってもらえるはず。そう考えて広告やLPを作ると、読む人が「他と比べている最中」だという前提が抜け落ちます。
Webでの集客は、ほぼ100%、比較されてから選ばれる。最初からそう思って設計しておくほうが、結果は安定します。
比較される前提がないと「ふつうに良さそう」で終わる
比較の場面で起きていることを、少し分解してみましょう。
見込み客は、広告やSNS、検索結果で複数の候補を知ります。そして頭の中で並べます。このとき、それぞれのサービスについて覚えていられるのは、せいぜい一言分です。「あの人は安かった」「あそこは実績が多かった」「あの人は自分と同じ業種に強そうだった」。一言で言い表せないサービスは、並べたときに何も残りません。
説明は丁寧なのに一言にまとまらないサービスは、読んだ直後は「良さそう」と思ってもらえます。でも比べる段階に入ると、特徴の分かりやすい他社に押し出されます。これが「ふつうに良さそうで終わる」状態です。比較検討の土俵には上がったのに、そこで選ばれずに終わっています。
僕はMeta広告の運用を代行していますが、広告の設計に入る段階でこの差がはっきり出ます。同じくらいの予算をかけ、同じくらいの品質の広告を出していても、「選ばれ方の設計」ができているクライアントさんと、できていないクライアントさんでは、広告の反応も、LPに来たあとの申込率もまるで違うんです。広告の調整だけでは埋まらない差で、原因をたどると「比べられたときに何と言ってもらえるか」が決まっていないところに行き着きます。
比較されても選ばれるための3つの設計
ひとり起業家や小さな会社が今日から手をつけられる形で、3つに分けて整理しましょう。
1. 「〇〇なら、ここ」と一言で言えるポジションを決める
まず、比べられたときに残してほしい一言を決めます。形は「〇〇な人が△△したいなら、ここ」です。「このジャンルなら、あの人」「このスタイルなら、あのサービス」と言ってもらえる状態を目指します。
コツは、対象と場面を絞ることです。「誰でも」「何でも」を残したままだと、一言は作れません。絞ると見込み客が減るように感じますが、比べる相手も同時に減るんです。その範囲では最初に思い出してもらえる存在になれるので、結果として選ばれる回数は増えます。
2. 比べる軸を、自分から示す
見込み客の多くは、何を基準に比べればいいのか分からないまま比べているんですよね。基準が分からないと、いちばん分かりやすい価格で比べることになります。
そこで、選ぶときに確認してほしいポイントを、こちらから示します。「サービスを選ぶときは、この3点を確認してください」と判断の物差しを渡し、その物差しに自分のサービスがどう応えているかを書く。他社の名前を出して優劣を並べる必要はありません。物差しを渡した側が、比較の主導権を持てます。
3. 選んだ人が、すぐに次の一歩へ進める導線を用意する
比べた結果「ここがいいかも」と思ってもらえても、そこで何をすればいいか分からないと、もう一度比較に戻ってしまいます。無料の資料を受け取る、短い動画を見る、個別に相談する。魅力を感じた人がそのまま進める一歩を、1つだけはっきり置いておきます。
ここで選択肢を増やしすぎないことも大切です。比べ疲れている人に、また選ばせることになるからです。1ページで求める行動は1つに絞ってください。
比較を怖がらず、比較の中で選ばれる準備をする
比べられることを、ネガティブに捉える必要はありません。比較されるということは、候補に入っているということです。候補にすら入らないよりは、ずっと前に進んでいます。
やるべきなのは、比較の中で選ばれる準備をしておくことです。広告でも、SNSでも、LPでも、「比べられたときに何と言ってもらうか」を先に決めて、それを入り口から申し込みまで同じ言葉でそろえる。これだけで、同じ広告費、同じ発信量でも、結果が変わってきます。
僕自身、2011年に創業してから、何度も「他と何が違うんですか?」と聞かれてきました。その質問に一言で答えられるようになってから、相談の入り方が変わりました。まずは、あなたのサービスが比べられたときに残してほしい一言を、紙に書き出すところから始めてみてください。
よくある質問
競合が多すぎて、どう比べられても勝てる気がしません。
全員に勝つ必要はありません。比較される前提の設計は、「この条件の人なら、ここ」と言える範囲を決める作業です。対象を絞るほど比べる相手は減ります。実績の数や価格で勝てなくても、対象と得意な場面を限定すれば、その範囲では最初に思い出してもらえる存在になれます。
LPに競合との比較表を載せたほうがいいですか?
他社名を出して優劣を並べる表はおすすめしません。読む人に「売り込まれている」と感じさせやすいからです。代わりに、「選ぶときにはこの3点を確認してください」という判断の基準を示し、その基準に自分のサービスがどう応えているかを書く形にします。比べる物差しを渡すほうが、信頼につながります。
ポジショニングの一言が決まったら、どこに書けばいいですか?
広告の冒頭、LPのファーストビュー、プロフィールの1行目の3か所にそろえて書いてください。見込み客は広告で知り、LPで比べ、プロフィールで確かめます。どの入り口から来ても同じ一言に出会えると、比較の場面で思い出してもらいやすくなります。場所ごとに言葉を変えないことが大切です。