この記事の結論
同じ通り、同じ人通りなのに、行列ができる店と空席だらけの店に分かれます。差を生んでいるのは商品の質ではなく、「その商品を通じてどんな気持ちを持って帰れるか」が設計されているかどうかです。商品は手段で、目的はお客さんの満足。この順番を入り口の言葉に反映するだけで、反応は変わります。ひとり起業家と小さな会社が今日からできる置き換えの3ステップを、京都・嵐山での観察と広告運用の現場からまとめました。
同じ通りなのに、満席の店とガラガラの店がある
経営者の集まりの視察で、京都・嵐山に行ってきたことがあります。平日でしたが、海外からの観光客の多さに驚きました。メインストリートには、飲食店やお土産屋さんがずらっと並んでいます。
歩きながら眺めていて、あることに気づきました。
お客さんが入っている店と、ガラガラの店が、はっきり分かれている。
同じ道沿い、同じ人通り、同じ時間帯です。立地という一番大きな条件が揃っているのに、中の景色がまるで違う。これは何なのか。そう思いながら、しばらく観察して歩いていました。
入っていた店と、空いていた店の決定的な違い
パンパンに入っていたのは、正直に言うと、ちょっと古びたフードコートのような店でした。中では祭囃子のような音楽が流れていて、串焼き、海鮮丼、たこ焼き、お好み焼きが並んでいる。ザ・日本という屋台の雰囲気が、そのまま広がっているんです。もちろん、外国人観光客でいっぱいでした。
一方でガラガラだったのは、おしゃれなカフェや、アメリカンなバーガーの店。見た目はおいしそうなんですよ。きれいさで言えば、こちらのほうが上です。でも、観光客の立場になると「それ、日本じゃなくても食べられるよね」となる。
お土産屋さんも同じでした。ほとんどの商品が抹茶です。クッキー、バームクーヘン、ソフトクリーム。どれも抹茶。京都に来た感が、そのまま形になっている。
つまり、観光客が買っていたのは商品そのものではありません。日本を味わえたという体験、京都らしさを持って帰れる実感。それが、本当に欲しかったものです。
商品は手段であって、目的は気持ちの満足です。ここがしっかり設計されている店が、ちゃんと選ばれている。現地を歩きながら、そう感じました。
Webの入り口でも、まったく同じことが起きている
僕はMeta公認代理店〈Meta Business Partners〉として広告運用代行をしていて、毎月いくつものLPと広告文を見ています。そこで見る反応の出ない入り口は、嵐山のガラガラの店と同じ構造をしています。
反応が出ない広告文やLPは、だいたい商品の説明で埋まっているんです。
- 「全6回・90分のオンライン講座です」
- 「〇〇の資格を持った専門家が担当します」
- 「業界歴15年のノウハウを詰め込みました」
これは店で言えば、内装と品揃えの説明です。書いてあることは全部本当だし、質も高い。でも、通りかかった人が知りたいのはそこではありません。
逆に、申し込みが返ってくる入り口には、その商品を受け取ったあとに相手の毎日がどう変わるかが書かれています。抹茶のクッキーは、味の説明で売れているのではなく、京都に行ってきた証として売れている。それと同じ構造です。
ここで誤解してほしくないのは、盛る話でも、嘘をつく話でもないこと。提供する中身はそのままです。主語を商品から相手の気持ちに置き換えるだけ。これは見込み客のリサーチができていれば、そんなに難しい作業ではありません。
今日からできる「体験を言葉にする」3ステップ
ひとり起業家や小さな会社は、商品づくりに時間をかけている分、つい商品の説明から書き始めます。順番を入れ替えるだけで、入り口の言葉は変わります。
1. 自分の商品を「手段」の側に置く
講座も、施術も、コンサルも、お客さんにとってはゴールではなく通り道です。まず「これは手段だ」と決めてしまうと、その先を考える頭に切り替わります。
2. 「受け取ったあとの1日」を具体的に書き出す
朝起きて何をしていて、誰と話していて、どんな気分でいるか。抽象的な「自由になれます」ではなく、場面として書き出します。ここは想像で埋めず、既存のお客さんが実際に言ってくれた言葉から拾ってください。
3. 入り口の言葉を、その1日から選ぶ
書き出した場面の中から、いちばん多くの人が「それ、自分のことだ」と思う一場面を選び、入り口の一行にします。全部を並べる必要はありません。入り口では具体を1つ見せるほうが伝わります。この考え方は入り口で本質を見せてはいけない理由にも通じます。
嵐山の人混みをかき分けながら考えていたのは、結局これでした。マーケティングは、机の上より現場を見たほうが早い。売れている店は、今日も商品ではなく気持ちを渡しています。
よくある質問
「体験を売る」というのは、商品の質を軽く見るということですか?
逆です。中身が良くない商品で体験だけを語ると、受け取った瞬間に期待とのギャップが生まれ、リピートも紹介も止まります。ここで言う体験の設計とは、すでに良い中身を持っている人が、その価値を相手に伝わる言葉に置き換える作業です。品質は前提であり、置き換えるのは伝え方だけです。
コンサルや士業のように形のないサービスでも同じですか?
同じです。むしろ形がないサービスほど、商品説明が「90分のセッション」「全6回の講座」のように内容の一覧になりがちです。相手が知りたいのは時間数や回数ではなく、それが終わったあと自分の毎日がどう変わるかです。提供の中身は変えずに、入り口で見せる言葉だけを変えます。
自分の商品の「体験」は、どこから探せばいいですか?
既存のお客さんの言葉が一番の材料です。申し込み理由、契約後に最初に喜ばれた場面、感想の中で本人が繰り返し使っている表現。この3つを集めると、自分では当たり前だと思っていた価値が出てきます。想像で書くのではなく、実際に言われた言葉から選ぶのが早道です。
入り口の言葉、一緒に置き換えませんか
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